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2019世界スーパージュニア決勝。「パリーvsエアラ、マイヨvsフォンデルシュレンバーグ」

金曜日、土曜日と雨の予報ではあったが、雨は降ることなく無事に試合が進行した世界スーパージュニアは本日が最終日。秋晴れの靭テニスセンターには、3,000人から4,000人近い観客が集まった。ジュニアの試合とは思えないほどの観客数である。コートエンド両側のほぼ全てとコートサイド両側の通路から下は殆ど埋まった。

女子決勝「ダイアン・パリー(フランス)vsアレクサンドラ・エアラ(フィリピン)」

パリー[1] 6-2 6-4 エアラ[4]

女子決勝は、出場選手の中での注目の二人の対決となった。既にプロでの戦績もあるフランス第1シードのパリーと、フィリピン第4シードの14歳エアラの一戦となった。ジュニアというくくりでみれば、ベテランと若手の対決だろうか。

パリーは、川口と組んだダブルスは見たのだが、シングルスは決勝で初めて見る。一番の特徴は、片手バックハンドから繰り出されるスライスとスピン系のボールである。女子だとプロでも少ない片手バックハンドを、このレベルでプレーするジュニア選手というのはたぶん始めてみたと思う。安定したフォワのストロークと、ネットプレーの上手さ、主導権を握れるファーストサーブの質と総合力のある選手である。総合力で見れば、ジュニアでは少しレベルが違うように思う。

第1セット

エアラ K(A) B(0)
パリー B(A) K(15) B(15) K(A) B(15) K(15)

様子を見る形のラリーで始まる第1ゲームであるが、互いにボールは深くいい状態で決勝に挑めている。ファーストの入りが悪くジュースまでいった後、最初のサーブをキープしたエアラは、第2ゲームでさっそくアグレッシブな攻撃テニスでラリー戦を優位に進める。最初のパリーのサービスをラブゲームでブレイクする。

第3ゲームのエアラも、サービスに苦しむ。今日もアドバンテージ側のサービスに苦戦している。スライスやトップスピンで返球してくるパリーに対して、エアラは強打で返しアンフォーストエラーが増えていきこのゲームを落としてブレイク数で同点となる。この後、第3ゲームから6ゲーム連続でパリーがゲームを取る。クレバーでゲームの組み立て方がうまいパリーの前に、エアラは完全に混乱している。

3ゲーム連続でパリーがゲームを取った後にエアラにオンコートコーチングが入る。コーチング後、3-2でむかえたパリーのサービスゲームは、パリーとエアラは共に初めてネットに詰める。ジュースまでもつれこみ、エアラに第1セットの可能性を残す最後のチャンスだったが、パリーのファーストサービスの質の高さでそうはさせない。

第2セット

エアラ K(A) K(15) B(30) K(A)
パリー B(0) K(15) K(A) B(30) K(15) K(30)

流れは変わることなく、パリーが最初の2ゲームを連続で奪取する。第1セット後半からは、エアラはパリーのセカンドをリターンエースするか、安定感のあるパリーが簡単なミスをしてくれることを祈るくらいしか、ポイントを取れるパターンがない。今のパリーのサービスを考えれば、セットを決めてしまう第3ゲームのエアラのサービスゲーム。40-15から40-40になるがどうにかこうにかキープした。逆転の可能性を残したキープである。

パリーサービスの第4ゲームは、第1セット前半以来となるエアラのウイナーショットが繰り出される。安定したストロークを見せていたパリーにも少しばかりミスが見られるようになった。エアラもパリーの深いショットに対して強打でウイナーすることはできないので、我慢強いプレーを見せて二度ジュースいくもパリーがキープする。次の第5ゲームのエアラのサービスは破られる。5-1。ほぼ勝負は決まったように思えた。

逆に力が抜けて第7ゲームのエアラのサービスは、これまでとは違う凄くいいプレーが目立つ。このゲームを含めてエアラはここから3ゲーム挽回する。組み立てが変わった。パリーのスライスには強打ではなく、確実に返して先にパリーにラリー展開させる。クロスの打ち合いはエアラの方が優勢になるパターンが多いので、この展開はエアラの得点が増える。ショットの選択も、それまでなら一本で決めていたところを少しコース重視にしてエラーを減らすテニスに変わっている。苦戦していたサービスも、リターンエースは狙ってこないので球種とコース重視で入れるサービスを選択している。
5-4になって、2回目のパリーのSFC。流れは完全にエアラにある中で、2本はファーストでポイントを取る。途中のポイントで、パリーが完全に劣勢で、ただボレーを上げるように見えるが上手く球種を変えてエアラのスマッシュのミスを誘う。このポイントは大きかった。パリーは、サービスの際にトスをつく回数が多く、どちらかといえばサービスに時間がかかるほうだが、この大事な所で二回目のバイオレーション取られてファーストサーブが剥奪されている。ちょっと可愛そうな気もするが、大きく崩れることなくこのゲームを取って優勝を果たした。

互いにいい所を出し合ったいい決勝になりました。

男子決勝「アロルド・マイヨ(フランス)vsジェフリー・フォンデルシュレンバーグ(スイス)」

マイヨ[1] 6-1 6-2 シュレンバーグ[10]

今年、多く来日していたスイス人。フォンデルシュレンバーグが、決勝に進んだ。相手は、第1シードフランスのマイヨ。

マイヨの安定したストロークとサービスの前に、フォンデルシュレンバーグはなすすべなかった。自分のファーストサーブ以外に優位になる展開は限られており、厳しい展開になった。フラット系のボールをネットにかけまくっていたので、意識的に少し弾道の高いボールに変更した時もあったが、マイヨのストロークの安定感の前に効果的な戦術変更にはならなかった。マイヨのボール深いわ。

第1セット

マイヨ K(30) K(0) B(30) K(30) B(A) K(0)
シュレンバーグ K(A)

第2セット

マイヨ B(15) K(A) B(30) K(30) K(15) K(0)
シュレンバーグ K(30) K(15)

今年は、男子シングルスが終わった後に、男女双方の表彰式が行われた。