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好ゲーム。高校ラグビー準決勝。大阪桐蔭vs流経大柏、桐蔭学園vs東福岡

気温10度。風はほぼ無風。花園にしては暖かい陽気となりました。今年は土曜日の開催となった高校ラグビー準決勝。Aシード3校に、夏の7人制(アシックス)を制した流経大柏という順当なベスト4の顔ぶれとなりました。

開門時間の11時に到着。入場待ちの列、チケット購入の列、共に少しばかり行列ができている。チケットを購入して中に入ってみると、外の行列の人はどこに?というような感じで良い場所を確保できた。曇ってるが、雨は降らないだろうと思い、メイングラウンド前方で見ることにした。試合開始まで1時間以上あるが、寒くないので本を読みながら時間を潰した。

中央付近はほぼ埋まっていたが、左右とゴール裏はそこまでは埋まらなかった。観客は1万人弱である。

大阪桐蔭高校 vs 流通経済大学柏高校

大阪桐蔭 31-17 流経大柏

選手紹介

大阪府決勝でもやっていた、大型ビジョンの顔つきでの選手紹介がある。準々決勝はあったのだろうか。4試合ともJsportsの中継を見ていたが、中継からは分からなかった。

流経のFW陣はデカイのだが、大阪桐蔭はさらに一回りデカイ。流経は7人制を制しているだけあって、FWだけではなくてBKもタレント揃い。エリアマネージメントは上手い。ここ数年で一つ二つレベルアップしている。それは大阪桐蔭も一緒だが。

前半:互いに緊張したスタート。キック合戦に付き合わない桐蔭。流経の前半の終わらせ方。

互いに緊張しており、らしくないミスが出た試合開始直後であったが、特に大阪桐蔭は自陣からキックのミスが目立つ。この時間帯の流経の攻撃はテンポが良くて流経が外に回して先制する。

大阪桐蔭の嘉納と高本、流経の家村やその他バックス陣。双方共にキックの質は高い。ただ、どちらかといえばキックは流経有利だろうか。殆ど蹴ってる流経に、ある程度キック合戦に付き合うこともあるのだが、大阪桐蔭は縦に横にとボールを回していく。江良と安達の両PRや奥井の縦突破は効果的だし、3列目の仕事量は多い。高本と松山の両CTBの強さに、嘉納の技術とボールを回してゲインを繰り返す。2トライを返して逆転した後、中央でのキックにプレッシャーをかけられてトライされてしまい2点差で前半終了かと思ったが、流経が自陣での前半の終わらせ方にミスが出てしまいPGを献上して5点差となり前半終了。流経としては悪い流れで前半を終わらせたが、なんといっても常翔戦の逆転があるので不気味である。

後半:大阪桐蔭の22m内でのFWの強さ、大阪桐蔭の圧力

途中までは後半も前半とは変わらない試合展開ではあるが、22m内での大阪桐蔭の接近戦の強さが目立つ。逆に流経は、ボールを回しても縦・横ともになかなかゲインができず停滞してしまう。大阪桐蔭の守備の圧力は強くて、流経のハンドリングエラーも増えていく。最後に途中出場の選手に大きくゲインされた後にトライを許してしまったが、大阪桐蔭の後半の試合運びは盤石のものであった。

桐蔭学園高校 vs 東福岡高校

桐蔭学園 46-38 東福岡高校

今年の東福岡のFWは、ベスト4の他チームや過去数年に比べると見た目全般的に小さめ。ただしそこは東福岡のFWなので、体は強い。BKは相変わらずの強力な面子。桐蔭学園は、1列目(特にPR)は去年ほどではないが、1から15まで高いレベルの選手が揃っている。

桐蔭学園の圧倒的な力でゲームは始まる。

いきなり2T2G+PGで17-0になる。始まって10分。このままいけば50点以上のゲームになりそうな展開に、選手も観衆も動揺が隠せない。桐蔭は、一回り大きいFWの縦、素早いテンポでの回し、外でのギャップでの大きなゲインとやりたいようにやっている。東福岡のファーストタックルは決まらない事が多いし、FW戦で劣勢かつ速さについていけない感じ。

テリトリーよりボール保持。守備力も高いが、互いの決めきる力。東福岡のモール

選抜も打ち合いであったが、この試合も打ち合いになった。東福岡は、桐蔭の強さに徐々に慣れてきたので、しまってきた試合になってきた。ラグビーはテリトリーの取り合いであるが、この試合はボールを保持したチームがトライまで持っていく力があまりにも強い。決して両チーム守備が弱いというわけではないが、攻撃が強い。オフサイドやラック内での反則も比較的少ないし、並のチームなら大きくゲインされたりトライされるシーンでも最後の最後での守備の踏ん張りがあるが、攻撃が一枚上手である。
桐蔭学園は、天理戦には出ていなかった2番の紀伊遼平と8番の佐藤健次の存在が特に大きい。ところで、佐藤健次は本当に1年生なのだろうか。小西はどこか悪いのか殆どランを見せずにパス裁きに専念していたので、東福岡に取ってはまだ守りやすかっただろう。この縦と横の攻撃に、小西のランまで来たらどうにもならなくなる。
東福岡は横を広くとか、中央のギャップなどでのゲインは今日の試合はいつもの東よりも少なめ。桐蔭の守備は強い。宝田、廣瀬や原口の中での強さや、木原、福井や吉永の突破が目立った。ブレイクダウンは劣勢だが、乗り越えられないように必死に頑張っている。何と言っても東がここまで戦えたのはモールが大きくて、FWの大きさでは負けているがモールの質は高くてモールで何度と見せ場を作っていた。

キックオフの重要性。

最初の方は、キックオフの際、互いに少し深めにボールを蹴っていた。桐蔭学園のボールホルダーへのプレッシャーが早くて、東福岡は相当な圧を受けていた。東福岡側から見るとこのキックオフ時に、蹴るにしても回すにしても、まずボールを安定されるまでが相当なストレスになっていた。ゲームの流れが変わってボールが保持が重要になってからは、コンテストするボールに変わってきた。若干、桐蔭学園の方がコンテストの質が高くて、今日のゲームの展開を見るとここが勝負を分ける点となった。上背は、どちらも強調するほど高かったり低かったりしたわけではないので、桐蔭学園は津田のハイレベルなキック精度を活かすべくかなり練習してきたように思える。キックオフとそのリターンというのが今年の高校ラグビーを見る上で一つのテーマ何じゃないかと個人的に思っている。

好ゲーム

ロスタイムがなかった。治療もなかったし、反則の数も少なくてしまったいいゲームになった。攻守の切り替えがとりあえず早い。東福岡は17-0から追いついて逆転をしたし、桐蔭学園は後半逆転され完全に流れは東福岡の中で大事な攻撃を取りきったりと両者ともに強いチームでした。高いレベルのいい試合でした。高校生としては最高峰の戦いではないでしょうか。