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高校ラグビー大阪府予選決勝「桐蔭vs産大、朝高vs同志社香里、仰星vs常翔」@花園

新しくなった花園へ。高校ラグビー大阪府予選決勝。大一番です。

大阪桐蔭高校 vs 大阪産業大学付属高校

大阪桐蔭 74 - 14 大阪産大付属

大阪決勝の入場料は例年は700円だが、今年は1,000円。チケットを買って会場に入ると、新しく出来た大型ビジョンが目に入る。大型ビジョンでは、試合前に両校の選手が顔つきで紹介されている。バックスタンドに座っていたので、家族や同級生などが大型ビジョンに映し出される姿で盛り上がったり、感動している人が目につく。来年以降も続けて欲しいなと思う。

桐蔭。高本は12番へ移動。

去年の春から今年の春までスタンドオフを務めていた高本は12番へ移動し松山とコンビを組む。春12番を務めていた三島は外での起用で、スタンドオフは、2年生の嘉納が入っている。その嘉納がプレスキッカーを務めているが、難しい角度を何本か決めており技術は高い。
高本はゲームメイクより自分でボールを持ってしかける事に強みがある選手なので、12番の起用も納得で、今日も何度となく中央で大きなゲインを決めていた。

フォワード、バックス、選手層で高いレベルの大阪桐蔭。

完成度は高い。エイトの堤田、去年のスーパー1年生奥井、1番の江良などのコンタクトが強い選手は当たると、ゲインなしで止めることは容易な事ではない。LO・FLの仕事は早くて、ブレイクダウンにおいてはかなり有利に試合を運べている。
FWだけではなくて、バックスも強力で、FWで有利に運べた展開で決める力は相当にある。嘉納・高本・松山の中央は強力である。
後半、試合が決まった後に入った控え選手も実力者で、このレベルで16番以降の背番号なのかと思う。途中から入った芦塚のトライは見事だった。

産大付属。後半見せた意地の1トライ。

攻撃時は、桐蔭の強いディフェンスの圧力からかハンドリングエラーが目立つ。守備時には、なかなか戻りきれずにオフサイドを連発。ファーストタックルが何回かに1回は大きく外されるので、厳しい展開となった。
用意してきた戦略としては、スタートの時のキックは右側に蹴って競わせている。いつもやっているのか、桐蔭用に仕込んできたのかはわからないが、ファールを誘う回数もありそれなりに有用な戦術のように思えた。これもキッカーの技術が高いから出来ることで、オーバーしないでかなりの精度でラインギリギリに蹴れる二年生スタンドオフ熊田の技術は高い。
前半の試合が決まる前の産大の攻撃としては、その熊田のハイパンドなどのキックが目立った。特に、桐蔭の選手に比べて産大の選手がハイパントの処理に優れているわけではないが、桐蔭相手には一番効果的と判断してのことなのだろう。前半のトライは、ショートキックに抜け出してのトライ。桐蔭からしたらアンラッキーと見るトライだと思う。
後半、劣勢で試合が決まった中での、22m外から中央をFWで突破して見せた1トライは素晴らしかった。桐蔭としてはあっさり取られたので反省点だろう。

大阪朝鮮高級学校 vs 同志社香里高校

大阪朝高 38 - 12 同志社香里

同志社香里はかなり久々の花園出場を目指す。大阪の決勝は数年ぶりかな。OBや同志社ファンは期待を寄せている模様。(Jsportsを見ると、大学の方はダイタイに苦戦中。)
二試合目以降は、バックスタンドの入れ替え時間がカツカツで大混乱。朝高・常翔・仰星は手慣れた感じだが、同志社香里はかなり手間取っている。せっかく準備してきた応援物が使えてなさそうで可愛そうである。

テリトリーの取り合い

ラグビーは陣地の取り合いというのが面白いほどわかる試合。

朝高の武器は何と言っても、モール。どう22mまで行くか。どう22mまで行かせないかというのがポイントである。
朝高の1、3、8とか強そうなFWがある程度ゲインできるかと思っていたが、同志社香里の接近戦の守備は案外強くてゲインは殆どさせない。最も、ここがゲインされると同志社香里に勝ち目はない。それで、朝高はキックが増える。香里は普段どんなラグビーしているか知らないが、中央付近で離せない→キック→モールは避けなくてはいけないので、こちらもキックが増える。展開ラグビーを主とする同志社ファンからは、勝負しろという激(ヤジ?)が多数。キック自体は、香里の選手より朝高のイスンシンの方が、精度・飛距離共に上なので、あまり付き合ってもテリトリーが取られるだけなので難しいところ。朝高のミスも多かったが、香里はよく研究してかなり善戦している前半であった。

テリトリーの取り合いがある程度うまくいっていた前半とは違って、後半は敵陣深くでの朝高のモールが炸裂。これは今日の香里では止めるのは厳しい。全国相手に今年のこのチームのモールはどれくらい通用するのだろうか。これが通用しないレベルの相手が来れば朝高はそこで終わりだろう。

テリトリーの取り合いなどと言えない点差になってからは、同志社香里は普通に展開ラグビーに戻してきた。高校以降のラグビーや、キックの精度とかを考えると、普段はこちらのラグビーなんだろう。勝つためのラグビーをマネジメントしてきたというので、戦術としては面白かったと思います。ただ、3BKはもうちょっと勝負してほしかった。

常翔学園高校 vs 東海大仰星高校

常翔学園 54 - 7 東海大仰星
衝撃の結末。

縦に強い常翔。SHの力。

常翔は縦に突っ込むラグビー。近畿大会に見た時とはえらい違うチームである。一番目についたのは、3番の為房慶次朗(2年生)。去年の花園より大きく成長している。
為房を筆頭にFWはゲインできる面子が揃っている。あまり強いとも言えない今年の仰星FW陣はかなり劣勢である。
単純な縦以外にも、全国クラスのSH前田翔哉が最終学年になり、FK・BKを自在操ったり、自分で勝負したりと仰星を翻弄させている。今日の6校のSHでは、頭ひとつ抜けている。エイトに入っているエース石田吉平は、何度も大きなゲインを見せて実力を見せつけている。

本大会でも、期待できるチームではないだろうか。

大敗の仰星

仰星は、ゴール前22mでのギリギリの守備などを見ると強豪校の強さが見られたが、攻撃のほうがイマイチだった。守備に回る時間が多かったのも有るが、逆にいうとすぐにトライされていないとも言える。(後半途中までの話)
攻撃は、FWが弱いのでブレイクダウンで大幅に劣勢。寝ている選手が多くて、なかなかスムーズにボールが回らない。外に回しても常勝の守備体系は揃っており、去年の河瀬のような圧倒的な個の力を持った選手もいないので停滞してしまう。
後半の終わりに立て続けにインターセプトトライをされているので、狙われているのもあるが、予想された攻撃が続いているといえる。
今年の仰星は、ずば抜けた選手がいない分、積極的な選手交代で試合を作ることもあったが、今日は流れを変えることはできなかった。